ネタバレ! 小説と映画の感想‐青葉台旭

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映画「ホーンズ 容疑者と告白の角」を観た。

  

ホーンズ 容疑者と告白の角(字幕)

ホーンズ 容疑者と告白の角(字幕)

 

 *以下、ネタバレ注意!

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性器を隠すためと思われる「ぼかし」が数か所ある。それからインターネットの情報によると日本版で削除された部分があるらしい。

まあ、配給会社にも大人の事情というものがあるのだろうが、特に親父の頭を吹き飛ばすシーンを削除するのは、いかがなものか。

正直言って最初観た時、そのシーンが「あまりにアッサリしている」事に違和感を覚えた。

あとになって、残酷描写が削除されていると分かって「そうだったのか」と思った。

映画としての完成度を考えた場合、その描写はあったほうが良かったと思う。

まあ、大人の事情があったというのも分かるが。

最後のシーンは切なかった。

最後の対決の直前、主人公は恋人の父親に会いに行く。

死んだ恋人が残した十字架の首飾りを、彼女の父親に返すために。

父親は「君が持っていなさい」という。

主人公が十字架を自分の首に付けると、悪魔になりかけていた彼の姿が、人間だった頃の姿に戻る。

「つの」も消える。

そして恋人が何故、自分に対して「別れよう」と言ったのか、その真相も明らかになる。

実は恋人は不治の病に冒されていて、いずれ死ぬ運命にあったのだ。

そして主人公に迷惑をかけないために、自ら別れを告げたのだった。

物語の始めに「信仰心の厚かった彼女が、なぜ殺されなければいけないのだ」みたいなセリフがある。

つまり「復讐の鬼」と化した主人公に「人間の心」を取り戻させたのは、厚い信仰心と純粋な心を持った恋人の形見だったという表現だ。

主人公は最後に真犯人と対決するのだが、その時、恋人の形見の十字架を自ら外すことで、封印されていた「悪魔の力」を開放する。

首飾りを外すとき、主人公は天国にいる恋人に対して「ごめん」と呟く。

つまり、いっとき「人間の心」を取り戻した主人公が、再び自ら「悪魔の力」に手を出してしまう瞬間なのだ。

その「きっかけ」が、日本での公開で削除された「恋人の父親の頭を、犯人が銃で吹き飛ばす」シーンだ

「やむにやまれず悪魔の力に再び手を出す」という主人公の切実さを表現するためには、このシーンは、あった方が良かったと思う。

とにかく、主人公は「最終形態」へとパワーアップする。

すると、まず最初に背中から「天使の翼」が現れ、空中に浮かび上がるのだが、すぐに地獄の炎で翼は焼け落ちてしまう。

物語の最初のほうの「悪魔だって元々は天使だったんだ」というセリフと呼応している。

つまり、アメコミのダークヒーローや、日本で言えば「デビルマン」などのような「悪の力と正義の心」の象徴である。

見ていた私は、てっきり「ラストで『変身!』したな。こりゃあシリーズ物のヒーローが誕生したかな」などと邪推していたが、あっさり主人公は死んでしまった。

最後に「復讐は終わった、君(死んでしまった恋人)のもとへ行くよ」と言い残して。

ラストはオープニングシーンと同じ「主人公と恋人が、うららかな春の日差しの中で、じゃれあっている」シーンで終わる。

つまり、恋人は殺され、主人公は復讐を果たして力尽きて死んだが、二人は天国で永遠に幸せになった……という切ない終わり方だった。

*以下、宣伝。

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青葉台旭・作
ハーレム禁止の最強剣士!

自作の小説です。よかったら読んでみてください。