ネタバレ! 小説と映画の感想‐青葉台旭

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映画「白い肌に狂う鞭」を観た

映画「白い肌に狂う鞭」を観た

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脚本 ロベール・ユーゴー、ジュリアン・ベリー、ルチアーノ・マルティー
監督 マリオ・バーヴァ(ジョン・M・オールド名義)
出演 クリストファー・リー 他

ネタバレ注意

この記事には以下のネタバレが含まれます。

ひとこと感想

ここで一句。

伯爵も
前髪おろせば
ただのオッサン

ドラキュラと言い、ウィッカーマンと言い、本作品と言い、クリストファー・リーって伯爵ばっかりやらされていたんだな。

それにつけても、前髪を下ろしたクリストファー・リーのオーラの無さよ。

むかし、テレビのコントなどで長嶋茂雄のモノマネをする芸人は、必ず顔の下半分に薄っすらと青色の化粧をほどこして、ヒゲの濃さ即(すなわ)ち男性ホルモンの多さを表現したものだが、本作品のクリストファー・リーも顔の下半分が青々としていて、何だかエロい。

ドラキュラ伯爵のカリスマ・オーラは全く無いが、変態貴族のエロエロ・オーラが、むんむん。

話のオチは「伯爵の長男(クリストファー・リー)の亡霊は、ヒロインの妄想だった。全ては、長男と次男の間で揺れ動いたあげく精神を病んで二重人格者になってしまったヒロインの単独犯行だった」という、「サイコ」タイプのオチのバリエーションで、今となっては「有りがち」の部類に入るだろう。

じゃあ、まったく詰まらないB級映画だったかというと、そうでもない。
なかなかに味わいのある良い映画だと思った。
どの辺が良かったかと言うと、

  • SM趣味
  • 変態長男と、健全次男のあいだで揺れ動く昼メロドラマ的な女心
  • 歪んだ愛情と罪の意識により破滅する(最初から破滅していた)ヒロインの悲哀
  • ゴシック・ホラーと昼メロドラマの相性の良さ

これらの合せ技で、なんとも言えない魅力を湛(たた)えた映画に仕上がっていた。

……今ふと思いついたのだが、イタリアン・ジャッロとは、要するに日本で言えば江戸川乱歩とか横溝正史のエロ・グロ通俗探偵小説の事なんだな。

追記(2021.10.7)

とはいえジャッロの本分は、刺激の強いゲテモノ趣味な娯楽を、大衆に提供することだ。
ストーリーはご都合主義で、俳優の演技も大味だ。
B級ジャンク・グルメであることを予(あらかじ)め分かった上で、鑑賞するかどうか決めて欲しい。